「字は右手、箸は左手。私は何利き?」。そんな使い分けがあると、答えに迷うかもしれません。
動作ごとに使う手が違うことと、同じ動作を両手で同じくらいできることを分けて考えると、自分の使い方を説明しやすくなります。
この記事の目次
書く手だけでは分からないこと
たとえば、次のように手を使い分ける人がいたとします。
表は横にスクロールできます。
| 動作 | 使う手の一例 |
|---|---|
| 文字を書く | 右手 |
| 箸で食べる | 左手 |
| ボールを投げる | 左手 |
| マウスを操作する | 右手 |
この人に「字はどちらの手で書く?」とだけ聞くと、答えは右手です。でも、食事やボールを投げるときには左手を選んでいます。書く手だけでは、ほかの動作までは説明できません。
この表は、特定の人を想定した説明用の例です。典型的な組み合わせや、利き手を判定する表ではありません。
1990年の女子学生を対象にした調査にも、左利きで箸を右手に持ち替えた人が記録されています。特定の時代・対象集団の調査なので、現在の日本全体の割合を表すものではありません。箸の使い方を調べた研究
「よく使う」と「上手にできる」を分ける
右側にある物を右手で取る。それと、左右どちらでも同じように扱えることは、別の話です。
利き手の研究では、どちらの手を選ぶかという好みと、速さや正確さなどの技能を区別します。よく選ぶ手と上手にできる手は関係しますが、常に同じとは限りません。利き手の好みと技能を扱ったレビュー
いつも左手で使う物を、一度だけ右手で使えたとしても、それだけで両手の得意さが同じだとは分かりません。
交差利きと、両利きはどう違う?
動作ごとに手が分かれる場合
日常では「交差利き」「クロスドミナンス」などと呼ばれることがあります。研究にはmixed-handedness(混合利き)という語もありますが、何を測り、どこで分類を区切るかは異なります。
同じ動作を両手でできる場合
「両利き」は、同じ動作を左右の手で同程度にこなせることを指す場合があります。一方、会話ではもっと広い意味で使われることもあります。
好みと技能をどう組み合わせて分類するか自体が、研究の対象です。混合利き・両利きの分類法を比較した研究(抄録)
手・目・足の左右の組み合わせまで含む話もありますが、ここでは手の使い分けを考えています。呼び名だけで判断せず、実際の動作を聞くと伝わりやすくなります。
今の使い方だけで原因は決められない
身につけたやり方、使ってきた道具、繰り返した練習。これらは、その人の手の使い方を考える手がかりになります。利き手の好みと技能を扱ったレビューでも、好みと技能の発達を考える際に、学習や経験が扱われています。
ただし、今の使い方だけを見て「右手に直されたから」「左利きだから器用」と、原因や能力を決めることはできません。
「小さい頃からその持ち方だった?」
「その道具だけ右で使う?」
本人が覚えている経緯があれば、こんな具体的な経験から話してみてもよさそうです。特に意識せず使い分けている場合もあります。
「何利き?」には動作を添えてもいい

「基本は左利きで、字は右で書きます」
「箸とペンは左、マウスは右です」
道具選びでも、その道具を実際にどちらの手で使うかを見るほうが具体的です。食事の席なら、書く手ではなく食べる手を確認します。食卓での座る位置と配膳の工夫も、この考え方が土台になります。
呼び名は、人と話すための手がかりです。自分の使い方を、言葉の分類に無理に合わせる必要はありません。
参考資料・出典
出典を確認する(3件)
- 箸の持ち方とその機能性およびその要因について(1990) ↗出典の調査日 2026-09-28
- Scharoun & Bryden (2014), Hand preference, performance abilities, and hand selection in children ↗出典の調査日 2026-09-28
- Phenotyping in clinical laterality research: a comparison of commonly used methods to determine mixed-handedness and ambidexterity (2024) ↗出典の調査日 2026-09-28


