クレヨンもスプーンも、気づくと左手。「右手で教えたほうが、あとで困らないかな」と迷うことがあるかもしれません。

大人の都合で、使う手を右にそろえる必要はありません。幼児から小学生の保護者に向けて、本人の使い方を見ながら、家庭での接し方と園・学校への伝え方を考えます。

この記事の目次
01普段の使い方を見る

使う手を、大人が先に決めない

描く途中で持ち替える、食べるときと遊ぶときで手が違う。まだはっきりしなくても、「こちらの手にそろえよう」と決める必要はありません。

英国の小児病院Alder Heyは、特定の利き手を強制せず、親と同じ利き手とも決めつけないことを案内しています。保護者向け資料(英語)

University Hospitals Birminghamの作業療法資料も、片方を強制せず、さまざまな活動でどちらを選ぶかを見るよう勧めています。クレヨンなどを体の正面に置く工夫も紹介されています。書く前の手の活動に関する資料・3ページ(英語PDF)

02困りごとを聞く

「右で持って」の前に、今の様子を

お絵描きが進まないとき、左手だからと理由を決める前に、今起きていることを聞いてみます。

「紙が動いちゃう?」
「描いたところが見えにくい?」

言葉で答えにくければ、一緒に机を見ながら、紙を広げる場所と物の置き方を確かめます。本人の反応を見て、ひとつずつ試しましょう。

声をかけるときも、左右ばかりに注目せず、「丸が描けたね」「自分で最後までできたね」と、やったことに目を向ける方法があります。

03一緒にやってみる

子どもから手元が見えている?

手の役割と、動かす順番を見せる
教室の入口で子どもの様子を先生に伝える保護者の挿絵
紙を押さえる手と、描く手をそれぞれ示します。向かい合うか隣に座るかは、本人が見やすい位置で試します。

右手を使う大人の動きを、そのまま左手でまねするのは、説明しにくいことがあります。「ここを持って」が伝わらないなら、子どもから手元が見えるか、動かす順番が分かるかを確認します。

ただし、道具まで一律に左右反転して使えばよいわけではありません。はさみは左右の構造が異なるものがあるため、刃と持ち手の違いも見て、使う手に合う道具か確かめます。

04園・学校へ伝える

「左利きです」に、場面を添える

どんなときに、どちらの手を使っているか。具体例を短く添えると、家庭の様子を共有しやすくなります。

家では、絵を描くときと食べるときに左手を使っています。本人が使いやすい手で取り組めるようにしたいです。園でも困っている場面があれば教えてください。

すでに困っているなら、「隣の人と腕が当たると言っています」「工作では紙を押さえにくそうです」など、場面を添えて相談します。

まだ困っていないことまで、先回りして並べる必要はありません。園や学校の活動、使う道具を確かめながら、取り組みやすい方法を相談しましょう。

05気になることがあるとき

手の使いにくさを、利き手だけで決めない

手の動かしにくさなどが気になる場合は、「左利きだから」と片づけず、かかりつけの小児科や地域の保健師に相談してください。NHSの手の発達に関する案内(英語)も、技能について心配があるときは、保健師や医師への相談を勧めています。

利き手や発達を、この記事の例だけで判断することはできません。声かけや置き場所の工夫も、特定の効果を約束するものではなく、本人の反応を見ながら試します。

参考資料・出典

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